心の準備がなくっても、モチベーションが上がらなくっても、とにかくおもいたったらすぐにできる手軽な運動が「お散歩」です。
一緒にやってくれる他人を集めなくてもよいですし、道具も要りません。「よし!散歩でもするか」という仄かな意志と暇さえあれば大丈夫。
そんな手軽でお薦めな運動であるお散歩ですが、もし皆さんが仕事や人間関係、日常生活に追われるなかで、ちょっとした悩みを心に抱いていて、それが整理されていないままモヤモヤしている状態だとしたら、もしくは画期的なアイデアが思い浮かびそうなのに、いまひとつクリアにならない、という局面におられるとしたら、断然やっていただきたい運動なんです。
散歩しながら難題や悩みに向き合った先人たち
昔から哲学者は学問の理論に悩み行き詰まると、散歩をして考えを整理したと言われています。
古くはアリストテレス、新しいところではアップル創業者のスティーブ・ジョブズなど、散歩で頭をフル回転させ、悩みを打開したり、先進なアイデアを膨らませたりしていたという逸話があります。
京都に「哲学の道」ってありますよね。中学生のときに修学旅行で歩いたことがありますが、大正時代の哲学者である西田幾太郎らがこの小径を散歩しながら思案を巡らしていたことから名づけられた名称です。
漫画家の藤子不二雄A先生も自著「まんが道」で、人間関係に悩んだ時や、作品のアイデアに詰まったときは高岡城址公園に散歩に行ったシーンがあったと記憶しております。
キラ星のような古今東西の著名人の例を並べた後に卑近な例えで恐縮ですが、かく云う僕も学生時代、試験前には自宅で机に向かうことなく、近所の河川敷を歩きながら、暗記する項目を頭のなかで繋げて覚えて、試験で好成績が取れたことがありました。
「試験前に外をウロついているとは何事だ」と両親に叱られるという苦い思い出もセットですが(苦笑)
漫画やドラマでも、アイデアがでないとか、悩みがあるときは腕を組んで部屋中をぐるぐる歩き回りながら「どうしよう!どうしよう!」ってシーン、ありますよね。あれ、現実の世界でも有効なんです。
じっと机に座って考え事をしても、脳内だけが活発に目まぐるしく回転し、身体が静止しているから煮詰まってしまうのです。頭の回転と同時に身体も動かして活性化させないとアンバランスです。
悩みは五感を駆使するほど解決しやすくなる
じっと机に座って考え事をするグループと、歩きながら思案するグループを比較調査したところ後者のほうが、より独創性に富んだアイデアを生み出すことができた、という研究があります。
スタンフォード大学の論文研究です。
ただ、このような研究の成果を待つまでもなく、前項で書きましたように、私たちは身体を動かしながら物事を考えたほうがより実り多い思考、問題解決に結びつくのだということを経験則で知っています。
「う~ん、頭がこんがらがってしまった!ちょっと外に行って頭をひやしてくる」
これ、要するに外に行ってブラブラ歩きながら思案するわけです。本能的に人間はこういうことをやっているわけです。
歩くだけでなく、ブツブツ言いながら耳に刺激を与えたり、本を読みながら歩いたり、メモ帳に思いついたことを書き連ねたり、五感を総動員すればするほど良いアイデアが生まれると思います。
そのほうが悩みの問題解決の糸口につながる近道であると考えています。
ただ、実際問題として道を歩きながらブツブツ言っている人がいたら周囲は気持ち悪がりますし、本を読みながら歩いたら交通事故の危険があります。なにかを思いつくたびに立ち止まってメモ帳を開いてペンで文字を書きなぐっていたら歩行もままなりません。
本来は五感を総動員することが理想ではあるのですが、現代社会の制約もありますので「散歩しながら思案する」だけでも充分効果があるんだ、と折り合いをつけることが肝要かと思います
外を散歩すれば視覚的効果も得られる
悩みを抱えていたり、アイデアに行き詰っている際に、その現状を振り払うように「俺は一人旅に出る!」という決断をするひともいます。
自分自身を日常のルーチンからいったん除外させて、異なった環境に身を置くことで自分自身を見つめなおそうという行為です。
日常からの「逃げ」「現実逃避」というネガティブな意味合いで捉える方もいるかもしれませんが僕はそうは思いません。いった「いまそこにある危機」から身をかわし、心がサンドバック状態にある絶望的な現状から、まずは脱却することが賢明な判断であり行為です。
アウトレンジ戦法で少し離れたところから俯瞰して「悩み」という敵を見つめなおすと以外にもこれまでの狭い視野では見えてこなかった簡単な解決ポイントが「すっ」と見えてきたりもします。
ただ「哀愁の一人旅」に出る時間もお金もない人がほとんどだと思います。
そういう時こそ「お散歩」が手軽であり効果的なのです。
なにも電車や飛行機に乗って、人里離れた秘境や観光地に行かなければ刺激が得られないことはありません。
永六輔さんの名言で「街角を曲がればそれはもう旅」というのがあります。
街角を曲がり、近くの小川や住宅群、商店街の雑踏や夕焼けなど、目まぐるしく変わる景色が新鮮に映ればたとえご近所散歩であろうとも、それはもう立派な「旅」です。
散歩により足の裏から生じる刺激と、視界が変化する刺激と相まって、脳の回転を活性化させ「あ!こんなアイデアがあった」とか「なんでこんな些細なことで悩んでいたんだろう」とか、ふっと憑き物がおちる瞬間に出会えたのならばシメタものです。
考え事には「ブラブラ散歩」くらいがちょうどよい
ここまで書くと「身体を動かせばよいのならテニスの壁打ちやサイクリングでもよい?」というご質問があるかもしれませんが、テニスの壁打ちを真剣にやっていたら、そもそも意識がテニスボールを
打ち返すことに集中し、悩みやアイデアを整理するどころじゃありません。自転車を運転しながら別のことを考えているのは危険な自殺行為です。ストイックは競歩・ウォーキングでさえ、歩数やタイムに拘るのならば他の激しいスポーツと同じです。
やっぱり先人が経験則でやってきた「散歩」で頭脳をフル回転させながら、二次的に体を動かす、というくらいがよろしいのではないか?と僕は思います
もっとも、激しいスポーツに無心で打ち込み、悩みやアイデアのことなど忘れよう!頭を空っぽにしてクタクタに疲れ果てて、一晩寝てから、明日また考えよう!というのであれば、これはこれでスッキリしますよね。一つの効果ある方法だとは思います。
それでは!今日はこんなところです~(^-^)
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