簡単に判る?アワビとトコブシの違いについて

あきらんトリビア

冒頭から質問です!皆さん、アワビとトコブシの違いって、どう見分けますか?

2つとも一見よく似た貝ですよね。
私は祖父母の家が海の目の前だったので、子供の頃から夏季休暇等で遊びに行くと、サザエやウニ、アワビやトコブシなどが毎晩の食卓にあがりました。

それらの食材は、普段東京に住み、東京で外食する人にとって、あくまでも東京視点で「豪華」なのであって、海のある村に住み、漁業権を持つ家に暮らす人々にとっては毎晩の食卓にあがる普通の夕食です。

むしろ、東京のコンビニで売っている「サンドイッチ」やファミレスで食べられる「オムライス」のほうが、そのような地域では高級な扱いだったりもします。

話は脱線しましたが、祖父母の家で「今日の晩御飯はアワビがでるよ」と言って出されたアワビが大きく、「今日はトコブシ」と言われた日の、そのトコブシは小さめのことが多かったので、自分で勝手に解釈し

「大きいのがアワビ」
「小さいのがトコブシ」
「だからつまり、アワビが親でトコブシは子供」

という、まるで羊のラムとマトン、魚のイナダとブリみたいな公式に当てはめて解釈していました。

でも、かなり成長してから、私はその恥ずかしい間違いを友人から指摘されたのです。

アワビとトコブシは「殻の穴の数」の違いで見分けられる!

これは、もう生物学的に明確な見分け方です。
殻の穴の数がアワビならば4個か5個、トコブシならば6個から9個!ざっとこれだけを覚えておけば見分けられます。
まるで沈没したタイタニック号と、その姉妹船のオリンピック号が窓の数だけが違う!(都市伝説らしいですが)みたいなものなんですね。

ごめんなさい。ヘンテコな例えで・・・、でも、この見分け方は確かにクリアーです。

ただ、写真にみるように、穴が開いていないけど、穴が開きそうで開かなかった!みたいな微妙なポチポチがあるときは、どうジャッジするの??

そのご質問には次の項でお答えいたします。

アワビは穴の周りが隆起している!トコブシはただの穴!

トコブシは穴が「ただの穴」ですが、アワビは穴の表面が火山口やフジツボのように「隆起」しています。その形態で両者の見分けを付けることが可能です。

「穴の数」でまず90%以上の第一診断をして、ちょっとこれ微妙?と思ったら、念には念を入れて、その穴がただの穴か、隆起しているかで確定診断をつけてみましょう・・・というところでしょうか?

少なくともここまでの知識でがあれば、料理店でアワビやトコブシがメニューとして出てきたときに
「ねえ、アワビとトコブシの見分け方って知ってる?」とうんちくカマすことはできますね。

まあ、そんなことでドヤ顔すると嫌われちゃいそうですが・・。やめとこうっと(笑)

アワビとトコブシの食感の違いは?

アワビは身が固くコリコリ。トコブシは柔らかくプニプニ。そういわれています。

そういえば祖母がアワビをよくお風呂場で手拭いに包んで、その手拭いをブルンブルンと振り回して床に叩きつけて身を柔らかくしていました。トコブシのときはしていなかったなあ。そういえば。あれ、ちゃんと根拠があったんだぁ。

アワビも熱を通すと柔らかくなりますから、コリコリ感を楽しむにはやっぱり生食・お刺身がベストですかね。
もともと味が濃厚だといわれているので、生で食べても息を鼻から吸いながら噛むほどに旨味が口の中に充満します。
いっぽうトコブシはそれ自体はアワビに比べて淡泊、というかあっさり味だといわれています。
甘辛く煮たりすると、軟か~で甘~な味がお口の中で広がり、持ち味が数倍に膨れ上がり最高です。

アワビは味が濃く、トコブシはあっさり味だよ、という話については、正直私には両方一緒に食べ比べしないとよくわからない!
ただ間違いなく言えるのはどっちもうまい!
それでよいじゃないですか?ダメ?

ワタ(肝)に緑と白があるのはなぜ?

これも私は子供の頃「緑は男の子色だからオス」「白は白無垢みたいだからメス」という致命的な説を自分勝手に脳内培養して信じ込み、こともあろうに他人に吹聴したりしていましたが・・・違いまいしたね。(-0-;)

逆だそうです!(笑)

オスは白(クリーム色)でメスは緑色が正しいのだそうです。
これ、生殖腺なんですって、しかも、緑と白で雌雄の見分けが付くのは、生殖腺が大きく肥大する夏場から秋にわかりやすいそうです。

地域によっては緑と白(つまり雌雄)のセットのアワビを妊婦さんに食べさせて「可愛い赤ちゃんが生まれますように!」と縁起を担いているという話もあるようです。

肝は子供の頃は「苦いからいやだ~」(>0<)と言って敬遠していましたが、祖母がいつも「目にいいから食いな!」とそんな私を諭しました。
いま色々と調べてみますと、肝というよりもアワビやトコブシの殻が、古来、中国医学の薬としてすりつぶされ「目の機能を高める」として重宝されたそうです。おばあちゃん!惜しい(><)

最後に主張! アワビもトコブシもどっちも好き!

さて、ここまで駆け足ではありますが、アワビとトコブシの違いについて一緒に確認してきました。
両方「ミミガイ科」に属する巻貝ですが、生物学的にはまったく別の生物なのだそうです。
遺伝子とか、どのくらい相似しているのかなぁ。人間とゴリラ(ともにヒト科!)よりは近いよね・・・。

アワビはめちゃくちゃ大きくなるけど、トコブシは7cm~12cmくらいまでが上限らしいですよ。
「大きいからアワビ」「小さいからトコブシ」というガキンチョの時のワタクシの認識は、その点では結果オーライだけど、じゃあ7cm~12cmくらいの場合はどう判断するの?というと結局は上の項でかいたような、穴の数や突起の検証に頼らないとならないわけですよ、明智君。

カレイとヒラメがそうであるように、戦艦武蔵と大和がそうであるように、一見して違いが判らない「相似形」をこうして紐解いていくのも、たまには面白いですよね。

最後に、アワビとトコブシ、どっちが高級なの?という問いに対しては、これはもう、市場価値という意味では瞬殺でアワビに軍配です。
でも、私はそうは思わないなぁ。トコブシだって美味しいよ!

トコブシが一番おいしい季節は5月~8月と言われています。
祖母の家に遊びに行ってトコブシを食べたのは8月の夏季休暇の時期ですから、今にして思うと私が子供時代に食べていたのは一番トコブシが美味しい時期だったんですね。

金子みすゞさんも詩っています。「みんなちがって、みんないい」って。
これは至言!本当にそう思います。

アワビ、トコブシ、両方買って食べ比べしてみよう!

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